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小林よしのり
2018.7.2 12:24日々の出来事

杉田水脈か、井戸まさえか?

杉田水脈という国会議員は、「準男性」であり、「名誉男性」
なのであるから、男に媚びる発言しかしない。
「名誉男性」が好きな安倍政権や自称保守ネトウヨが支持
しているのだろうが、まだまだ日本は「野蛮」が残る国だ
と思う。

わしは井戸まさえという立憲民主党の元議員が書いた記事
としてブロゴスで読んだのだが、この人物にも、警戒が
必要だ。
極右因習派に杉田水脈がいて、左翼フェミニズム派に
井戸まさえがいる。
この二人は「因習」と「イデオロギー」の対極にいる
人物に見える。

杉田は、伊藤詩織さんに対して「女として落ち度があった」
とBBCドキュメントのインタビューで答えているらしいが、
「男性の前でそれだけ飲んで、記憶をなくして」とまで
発言しているのは大問題だ。
本来、酒に強い人でも、睡眠薬を飲まされたら意識不明には
なりますよ、そりゃ。
伊藤さんを信じるか、山口を信じるかは、「常識」の力が
試されているのであって、バランス感覚を持つ「保守」か、
あるいは単なる「因習の僕(しもべ)」かの分水嶺だろう。
保守を自称する者の中には、「因習の僕」が多すぎて、
本物の「保守」の感覚を持つ者が圧倒的に少ない。

「社会に出てきて女性として働いているのであれば」と
杉田は言うが、この発言は重要である。
左派・エセリベラルの者にとっては、「家庭」は社会では
ないと考えており、牢獄のようなものと捉えている。
右派・エセ保守の者にとっては、女は「家庭」を守るのが
本来の仕事であって、社会に出てくるものではないと
考えている。
だから、右派・エセ保守は、「男女雇用機会均等法」が嫌いだ。

だが、わしは「男女雇用機会均等法」を、因習を打破する
法として肯定的に評価する。
けれども、左派とも右派とも違うのは、そもそもわしは、
「家庭も社会である」と考えている点だ。
専業主婦だろうと、外で働こうと、社会に関わっている
点は同じであって、専業主婦が「専業主夫」であっても、
構わないのだ。
夫婦の片方だけの収入が、家庭を支えられるほどの額が
あれば、夫か妻のどっちかが家庭を守る役目でもいいでは
ないか。
実質賃金が下がり続け、非正規雇用が増えて、社会保障が
頼りない状況では、共働きでなければ、家庭を守れないと
いう最近の事情がある。
高度経済成長の時代とは全く違ってしまっているのだ。

例え経済面の不安がなくても、女性も外で働きたいという
希望もあるだろうし、それを叶えるのは悪いことではない。
そのくらい自由がある社会の方が健全であって、高度経済
成長の時代の家庭像が日本の伝統ではないのだ。
杉田水脈らエセ保守は高度経済成長の時代の価値観を伝統と
勘違いしている。

わしは「個人」として顔を出し、詳細に証言した伊藤詩織
さんと、その周囲の証言者を信じている。
右派・因習でも、左派・フェミ・イデオロギーでもなく、
「保守のバランス感覚」として、わしは、伊藤さんは嘘を
ついてないと直感する。

ちなみに杉田水脈の「男女平等は、絶対に実現しえない
反道徳の妄想」という考えは、もはや意味が分からない。
少なくとも、今よりは日本は男女平等になっていい、
いや、ならなければ、国が亡びると、わしは思っている。
杉田水脈は愛国者ではないと、わしは判断している。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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